これは、ある夏の夜のことです。
友達の家に遊びに行った彼女を迎えに行くため、夜9時ぐらいに、その友達の家へ行きました。
あの日は天気が悪くて、激しい雷雨の中、車を走らせて行ったことを覚えています。
その友達の家というのは、鬱蒼とした森の中にポツンと建っているログハウスなんです。
目的地に着いてから私は車を降り、家に向かって歩き始めました。
私は「なんか嫌だなー、嫌な気配がするなー」と思いながら、家に向かって歩を進めました。
扉をガチャ!と開けて中に入ると、家には友達の妹さんが1人漫画を読んでいました。
ただ、彼女の姿がないんです。
仕方がないので、私は妹さんに挨拶を済ませ、彼女が姿を現すまでリビングで待たせてもらうことにしました。
私がリビングでテレビを見ていると、突然外でビカッ!と何かが光りました!
雷にしては数が多く、やけに低い位置で光るそれは、まるでカメラのフラッシュのようです。
しかし、ここは森の中。
そんな台数のカメラがあるわけないですし、ましてカメラを使う人間もいるわけがない。
なのに、木々の合間から閃光が迫ってくる。
私は「気持ちが悪い・・・一刻も早く彼女を連れてここを逃げ出さなければ!」という気持ちになり、心臓が萎んでいくような感覚になったのです。
すると突然!玄関のドアが開き、男が入ってきました!
私は咄嗟に身構えましたが、入ってきたのは友達のお父さんでした。
お父さんが優しく「コーヒーでも飲む?」と声をかけてくれたことで、私は少し平静を取り戻しました。
私は再びリビングでテレビを見始めました。
しかししばらくすると、突然風呂場のほうからシャーッ!という音が聞こえるのです!
私は一瞬驚きましたが、その音は誰かがシャワーを浴びている音でした。
そして友達の妹さんが「ああ、彼女なら今お風呂に入っているよ」という言葉を発しました。
その言葉を聞いて私はほっと胸を撫で下ろすとともに、その言葉をもう少し早く聞きたかったと思ったことを、今でも覚えています。
ですが、彼女を待っている間にも、森から放たれる無数の光は全く止まることを知りません。
コーヒーを飲んで少し落ち着いていた私でしたが、嵐の森から無数の光が飛び込んでくる光景を見続け、ついに平常心を失ってしまいました。
「ああ!これはもうダメだ!絶対に何かがいる!早く彼女を連れて帰らなければ!」
そう思ったその瞬間!突然風呂場の扉が開いたのです!
私は「ああ、彼女がお風呂から出たんだ。これでやっと家に帰れる。」と思い、肩の力が一気に抜けていきました。
しかし、風呂場から出てきたのは見知らぬ女でした。
私はこんな女を見たことがありません。
髪は黒くやや短め、身長は女性にしてはやや高かったでしょうか。
その女は不敵な笑みを浮かべながら、私のほうに向かってきたのです!
「誰だお前は!俺の彼女をどこへやった!」
私のその言葉も全く意に介さず、女は顔を私に近づけます。
「やめろ!やめろ!うわああああ!」
恐怖のあまり、私は目を瞑りながら大きく左手を振りかぶり、その手を女の頬へ思い切りぶつけました!
次の瞬間、私の耳には「ぼふっ」という音が聞こえたのです。
目を開けると、私の横で彼女が
(゚Д゚)
こんな顔をしてベッドの上で寝ていました。
そうです、私は夢にうなされた挙句に寝ぼけて、隣で寝ていた彼女を思いっきりビンタしていたのです。
寝返りという枠に収まらないそのアウトローぶりに彼女も驚愕し、しばらく呆然としていました。
その後事情を説明し、事態を把握した2人は、大笑い。
ビンタが命中した箇所が左肩だったから良かったものの、彼女にとっては相当な驚きだったようです。
あまりにも綺麗に命中した全力の左ビンタは、まるで「戦士のパジャマ」でも装備していたのかと思うほど。
時計を見ると、彼女に「起こして欲しい」と頼まれた7時ちょうど。
もしかすると「彼女を起こさなければ」という強い念を感じ取った「何か」が、僕を動かしたのかもしれませんね・・・。